鳴かぬなら 他をあたろう ほととぎす

妖怪・伝説好き。現実と幻想の間をさまよう魂の遍歴の日々をつづります

2024-01-01から1年間の記事一覧

現世と異界のあわいで ~琵琶法師と霊犬伝説に秘められし謎を探る! In 山形県

1.異界との媒介者たち 1-1.琵琶法師とは何者か? 1-2.神秘の動物、犬 2.霊犬伝説の解析を試みる! 2-1.山形県に伝わる2つの霊犬伝説 2-2.霊犬伝説から垣間見る日本の伝統的な世界/異界観 1.異界との媒介者たち 1-1.琵琶法師とは何者か? ↑の画像は平家伝説と…

鹿を巡る伝説・信仰の世界を踏み分け進んでみる ~猿丸太夫の百人一首の歌を足がかりに

“奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき” --猿丸太夫(生没年不詳) from 百人一首 史上に名高い歌人の中でも喜撰法師(六歌仙のひとり)と並んで謎めいた存在となっている猿丸太夫。架空の人物説も。上記の歌はそんな彼の代表作(もしかした…

金沢の地にて、文豪と刀匠、そして名君ゆかりの地を巡る

オリジナルのヒーローを描いてみました。 その名も「六道浄魔戦記Kagari(かがり)」! このヒーローを主人公にした小説を書いているところでして、その表紙に使うつもりで描いたものです。ビジュアルが先に登場、できるだけ早いうちにKindle出版したいなぁ…

白山vs白河!? ~白山信仰から鹿ケ谷の陰謀の真相をたどる

“年経(ふ)とも 越の白山 忘れずは かしらの雪を あわれとも見よ” ---藤原顕輔(1090-1155) from 新古今和歌集・神祇歌(1912) この歌の作者は院政の創始者にして権力の絶頂を極めたとも言われる白河上皇の近臣として羽振りを利かせていた(でも途中で失…

猿沢池の伝説を追って室生の地へ飛ぶ! ~奈良・猿沢池&室生龍穴神社

“補陀落(ふだらく)の 南の岸に 堂立てて 今ぞ栄えむ 北の藤波” -新古今和歌集 神祇歌(1854) いつもわたくしの投稿をお読みになってくださっている方(ありがとうございます!)でしたら↑の歌を見て「あれ?前回のnoteをシェアした投稿で取り上げていたのと…

神が寿ぐ歌 ~新古今和歌集の神祇歌より

Noteを更新しました。ご一読いただければ幸いです。 Noteの投稿は2000文字以内がいい、みたいな意見を読みました。長文投稿ばかりしている身からすると正直「2000文字程度で何が書けるんだよ」とか思ったりもするのですが、やってみた。 やろうと思えばでき…

「聖なる地」は「恐怖の地」でもあり ~東西の信仰から見る自然への畏怖の念

↑の画像は金沢市の「仏(みほとけ)の楽苑」で撮影した堂々たる不動明王像。一応妙応寺というお寺が管理しているらしいのですが、駐車場の一角にあってちょっと怪しい…じゃなくて不思議な雰囲気(笑) この不動明王の持つ刀は「降魔の剣」と呼ばれる煩悩を滅…

戦国時代におけるキリシタン信仰普及の真相を探る ~乱世におけるメシア思想の視点から

1.キリスト教伝来と禁教化 2.キリスト教の急拡大には弥勒菩薩への信仰がかかわっていた? 3.日本のマリア信仰の背後には如意輪観音信仰あり? 4.豊臣秀吉による「弥勒の世の到来」、そして禁教へ 5.京都市内のキリシタン関連史跡から推測する女人救済との関…

雪がなかった白山を見て「枕草子」のエピソードを思い出す

Noteを更新しました。ご一読いただければ幸いです。 以前に清少納言と中宮定子についての投稿をしたことがありましたが、この投稿ではそんな二人のエピソードを「枕草子」から紹介してみました。 note.com ランキング参加中神社仏閣・古墳・歴史的建造物めぐ…

石川県、大聖寺にてクラゲの妖怪と混沌の歴史と遭遇す 

以前やっていたNoteを再開することにしました。こっちのはてなブログは長文メイン、Noteの方はもうちょっと軽めの雑記風の路線で行こうかと思っています。 もしよかったら併せて一読いただければ幸いです。 シェアした投稿は水木しげるファンの方ならおなじ…

江戸時代の怪談から女人救済の世界を垣間見る ~京都・誓願寺ほか

“晴れやらぬ 身のうき雲の たなびきて 月の障りと なるぞ悲しき” ~和泉式部(978?-不明) このところ出だしに歌を紹介することが多くなっているので今回も踏襲してみました。なかなかに見栄えがするかなぁ、と(笑)あと最近「~を覗き見る/垣間見る」って…

路傍の石仏から女人救済の世界を垣間見る ~千葉県北西部・その他

“龍女は仏に成りにけり などかわれらも成らざらん 五障の雲こそ厚くとも 如来月輪隠されじ” ---作者不詳の今様歌謡 「梁塵秘抄」に収録 ↑は後白河法皇が編んだ今様歌謡集「梁塵秘抄」に収録されている歌。 当時の流行歌謡にどっぷりはまっていた後白河法皇が…

建礼門院徳子の歌から平家物語と中世日本の世界観を覗き見る ~京都大原・寂光院その他

“思ひきや 深山の奥に 住居(すまい)して 雲居(くもゐ)の月を よそに見むとは” --建礼門院徳子(1155-1213?)作として平家物語に登場 日本史を代表する「悲劇のヒロイン」ともいえる建礼門院徳子、源平合戦の最終章たる壇ノ浦の合戦において息子の安徳天…

妖かしの 正体見たり? 葬送儀礼 ~傘堂・奈良県葛城市ほか

↑の画像は奈良県葛城市にある「傘堂(または唐傘堂)」。二上山から當麻寺、石光寺などの当地を代表する観光スポットを巡るルート上にあります。 名前は見た目が傘(唐傘)のような形状をしているため。現在は補強材が追加されていますが、もともとは中央の…

アマテラス降臨す! ~平安貴族の権力闘争を伊勢の地から覗き見る 伊勢・斎宮跡

本投稿は前回の投稿の補足みたいな位置づけになっています。 前回の投稿は↓。ご一読いただければ幸いです。読まなくても本投稿をお読みになるうえでとくに問題はありません…けど、も(笑) aizenmaiden.hatenablog.com 紫式部や清少納言、藤原道長の時代が活…

平安ノスタルジーの世界をたどる 清少納言と藤原定子、一条天皇 ~京都・鳥戸野陵

“あらたまる しるしもなくて 思ほゆる 古(ふ)りにし世のみ 恋いらるるかな” 「世の中が変わる様子もなく、ただただ過ぎ去ってしまった昔の世を恋しく思います」 ---清少納言が詠んだ歌。 近年「昭和ノスタルジー」ともいうべき風潮があちこちに見られます…

あなたの知らなくていい世界 ~ 安倍晴明と紫式部 in 京都御苑その他・後編

さて、前回の投稿の続き。これからが本番です。前編をまだお読みになっていない方はぜひご一読のほど、よろしくお願いいたします↓ aizenmaiden.hatenablog.com 前回の最後に少し触れた藤原道長の邸宅、土御門邸。現在の京都御苑の敷地内にあったのですが、残…

あなたの知らなくていい世界 ~ 安倍晴明と紫式部 in 京都御苑その他・前編

今回の投稿では安倍晴明から今年の大河ドラマの世界にちょっとばかり迫ってみたいと思います。 なお、これは以前別のブログで投稿したものをちょっと書き直したものです。 ところで、80年代から90年代にかけての時代には今思うとかなり斬新なテレビ番組が放…

源頼政の伝説から重量不定の法則(?)についての検証を試みる ~頼政塚・千葉県印西市

↑の画像鵺退治で有名な「源三位」こと源頼政(1104~1180)の首が葬られていると伝える「頼政塚」。とその説明板。千葉県印西市にあります。 平家政権打倒を掲げた以仁王に呼応して挙兵(1180年)するも追討を受けて敗北、最後は京都の平等院で自害して果て…

万葉集から見る地名由来、そして鵺伝説をたどる~浜名湖

万葉集より 「花散らふ この向つ嶺(を)の 乎那(おな)の嶺の 洲(ひじ)につくまで 君が齢(よ)もがも」(巻14 3448) 少し意味を取りにくい歌なのですが…「花が散っている乎那の嶺(山)が低くなって湖の洲に届くくらい低くなるまであなたが長生きしてほしい」とい…

強さは愛? ~直江兼続の前立の正体を探る 

前回の投稿で愛宕権現について触れましたので、せっかくなのでこの話題も。有名な戦国末期の名将、直江兼続(1560-1620)の兜の前立と愛宕権現との関係について。 ↓の画像は米沢神社&米沢上杉博物館で撮影してきたものです。 堂々たる「愛」の文字が強烈な…

山から見る日本の信仰史...の名残 ~愛宕山・愛宕神社とか

↑の画像は後述する東京都港区の愛宕神社です。 歴史や寺社・仏閣がお好きな方の中にはおそらく山も好きという方が少なからずいらっしゃると思うのですが、そんな山好きにとっての心強い味方、山と渓谷社から↓のような素敵な本が出ております。 2万5000分の1…

これが乙女のポリシー? 「乙女」の地名の謎を探りに訪れてみた…が? ~滋賀県高島市、乙女ヶ池

↑の画像は滋賀県高島市にある「乙女ヶ池」で撮影したものです。 池の中央を縦断する形で橋(太鼓橋)がかけられていまして、なかなかに風情ある雰囲気を楽しむことができます。 そして今回の記事のタイトルはセーラームーンのEDテーマ曲(1993)から。これ歌…

君は見たか、湖の向こうに西方浄土が現れるのを! ~琵琶湖を巡る他界観についてと鵜川四十八体仏と竹生島

↑の画像は琵琶湖の西岸、滋賀県高島市鵜川の地にある「鵜川四十八体石仏群」。近年SNSでよく撮影スポットとしてよく上げられる海上鳥居がある白髭神社の近く(車がガンガン通る道をちょっと歩きますが)にあります。↓が説明板 このエリアの西側に広がる比良…

石をとれ!~印地打ちのフシギな世界 京都・北白川天神宮

今回はかつて日本でよく見られた群衆による「石投げ」、印地打ちについて。↓の「石合戦」のWikiページにあるように記録だけでも古代にまで遡ることができるという由緒正し~いコンセプト。 ja.wikipedia.org 地面に転がった石を拾って誰かに向かってぶん投げ…

昇龍は巨樹を頼る? ~左甚五郎作の龍の彫刻から龍伝説をさぐる

↑の画像は日本三景のひとつ天橋立のビュースポットとしてもおなじみ、成相寺(なりあいじ)の本堂にある「真向の龍」。成相山の中腹に位置している傘松公園からさらに山を登ったところにあります。 この成相寺、西国三十三ヶ所観音霊場のひとつ、住所からし…

電子書籍をKindle出版 宣伝と無料期間のご案内

Kindleで電子書籍を出版しました。しかも二冊同時刊行! なのでちょいと宣伝でも。 シャイなわたくしはこれまで宣伝をあまりやってこなかったのですが、やっぱり利用できるものは利用しないと誰の目にもとまらずに終わってしまうんで(笑) それぞれ3篇を収…

月を見て何を思う?和歌から垣間見る月の神さまの立ち位置について

“さやかなる鷲の高嶺の雲井より影やはらぐる月よみの森” ----by 西行法師(1118-1190) "やみ深き 浮世をてらす ちかひには 我まどはすな 月よみの神" ---by 鴨長明 (1155-1216) どちらも伊勢にある月読宮(つきよみのみや)を訪れた時に詠んだ歌とされてい…

かつての葬送の地にて法華経の世界を垣間見る ~京都化野念仏寺と岡山の福田海はなぐり塚

↑の画像は京都府京都市、嵯峨鳥居本化野町(いつも思うことですが京都の地名って面白いですね)にある化野念仏寺。 観光スポットとしても有名なところですが、その中でもとくに撮影スポットとなっているのがこの「西院(さい)の河原」。ちなみにこのエリア…

A history of Ise grand shrine with some poems

↑ is the entrance of Ise grand shrine Naiku with rising sun. "Not sure who's here, though Shedding tears filled with awe" "なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる" Composed by Saigyō(1118-1190) who is a Buddhist monk…